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マカオ(Macau SAR)での商標登録に関する実務ガイドを公開しました。


マカオ商標登録の完全ガイド 現地代理人が解説する申請フロー・費用・法定期限

マカオ商標登録申請フローと法定期限の解説イメージ
マカオ特別行政区(Macau SAR)へのビジネス進出や、広東・香港・マカオ大湾区(GBA)におけるブランド保護において、マカオ独自の独立した商標権を取得することは極めて重要です。マカオの知的財産権制度は、中国本土や香港とは異なる独立した一国二制度下の法体系(マカオ経済・科技発展局 DSEDT が管轄)を持っています。日本の企業様や特許事務所(弁理士の皆様)がマカオで商標登録を行う際、絶対に押さえておくべき法律上の注意点、厳格な「法定期限」、および「現地代理人要件」について、マカオ専門の現地代理人である Skywalk(天行国際)が詳しく解説いたします。

1. 日本企業が知っておくべきマカオ商標制度の3大重要ポイント

マカオでの商標出願を検討するにあたり、まず理解しておくべきなのは、中国本土や香港との法律的な切り離しです。多くの企業が誤解しがちな国際出願の適用範囲についても、独自のルールが適用されます。

マカオ知財制度における基礎前提

日本からの出願手続において、特に実務上影響が大きい3つのポイントは以下の通りです。

  • 独立した権利体系(中国本土・香港の効力は及びません): 中国本土や香港で商標登録を完了していても、マカオでの自動的な保護は受けられません。マカオ独自の出願が必要です。

  • マドプロ(マドリード協定議定書)の非適用: マカオは現在、マドリード制度(マドプロ出願)の対象地域に含まれていません。そのため、マカオ特許庁(DSEDT)へ直接出願(Direct Filing)を行う必要があります。

  • マカオ現地代理人の選任義務: マカオ国内に住所または本社を有しない外国企業(日本企業含む)は、法律上、マカオ現地の正規代理人(IP Agent)を通じて出願手続きを行わなければなりません。

現地代理人選任要件(Local Representative Requirement) マカオ国外に拠点を置く法人・個人は、マカオ特許庁(DSEDT)手続において現地代理人の選任が法的義務となっています。

2. ステップ1:出願の提出と官庁手数料の納付(8営業日ルール)

マカオ商標登録手続は、指定の商品・サービス区分(ニース分類)および商標標章を規定の出願書とともにDSEDTへ提出することから始まります。

出願書類提出後、極めて注意すべきなのが「官庁手数料(申請費用)の納付期限」です。多くの国・地域と異なり、納付期限が非常に短く設定されています。

出願初期段階の手続と注意点

  • 出願の提出: 出願書、商標図柄、商品・サービス区分(ニース分類)を提出します。

  • 出願手数料の納付: 【極めて重要な期限】出願完了後、8営業日以内に指定の官報・申請手数料を納付する必要があります。この期限を過ぎると、出願は不受理(却下)となります。

厳格な法定期限 8営業日以内の手数料納付期限は厳密に運用されます。出願手続き開始と同時に送金・支払手続を完了できるよう事前の準備が必要です。

3. ステップ2:形式審査および不備補正の手続

手数料の納付が完了すると、当局による「形式審査(形式審查)」が行われます(通常、手数料納付後1ヶ月以内)。形式審査では、出願人情報、委任状、指定商品の区分記載などが法令に適合しているかが確認されます。

審査結果に応じて、手続は以下のいずれかのルートへ分かれます。

形式審査の判定結果と補正手続

  • パス A:不備あり(不符合規範): 方式上の不備がある場合、当局より補正通知が発行されます。出願人は通知受領後2ヶ月以内(または出願から3ヶ月以内)に不足書類の提出や不適合箇所の解消を行わなければなりません。

  • 補正完了(適法) ➔ マカオ特別行政区官報での出願公告手続きへ進みます。

  • 未補正・不適合 ➔ 出願却下(駁回申請)。不服がある場合、1ヶ月以内にマカオ第一審裁判所へ司法上訴が可能です。

  • パス B:適法(符合規範): 補正なしで直接、マカオ特別行政区官報での出願公告手続きへ進みます。

4. ステップ3:政府公報での出願公告と第三者による異議申し立て

形式審査を通過した商標出願は、『マカオ特別行政区官報(Boletim Oficial da Região Administrativa Especial de Macau)』に掲載・公告されます。

この公告により一般へ情報が公開され、先行権利者などの第三者が権利侵害を防ぐための法的機会が提供されます。

異議申し立て期間の規定

  • 官報での出願公告: マカオ特別行政区官報に掲載・出願公告が行われます。

  • 第三者による異議申し立て期間: 公告日から2ヶ月間、第三者による異議申し立て(Opposition)が認められています。

異議申立期間 公告日から2ヶ月間の異議申し立て期間は延長できません。先行類似商標を持つ企業はこの期間内に異議を提起する必要があります。

5. ステップ4:実質審査および登録査定・拒絶査定の公告

2ヶ月間の異議申し立て期間が満了すると、DSEDTの審査官による「実質審査(實質審查)」が行われます。ここでは商標の絶対的拒絶理由(識別性の有無など)および相対的拒絶理由(他人の先行商標との類似性など)が詳しく審査されます。

実質審査の判定結果に基づき、以下のいずれかの行政裁定が下されます。

1. 登録査定の公告(刊登批給公告)

商標が法的要件を満たし、異議申し立てがない(または異議不成立の)場合、登録査定(批給公告)が官報に掲載されます。

登録査定の公告後、1ヶ月間の司法上訴期間が設定されます。この期間内に裁判所への上訴がない場合、正式に商標登録証が発給(簽發註冊證)されます。

2. 拒絶査定の公告(刊登拒絕公告)

登録要件を満たさない場合、または異議申し立てが成立した場合、拒絶査定(拒絕公告)が官報に掲載されます。

上訴期間内に司法上訴が行われない場合、拒絶査定が確定し、登録拒絶(拒絕註冊)となります。

6. ステップ5:司法上訴手続き(マカオ第一審裁判所)

マカオの知的財産権制度では、行政機関(DSEDT)の決定に対して裁判所への不服申し立て(司法上訴)を行う権利が保障されています。形式審査での不成立、拒絶査定、または他人の登録査定に不服がある場合、司法ルートでの救済が可能です。

上訴手続きはマカオ第一審裁判所(第一審法院)にて審理されます。

裁判所での不服上訴と最終確定手続

  • 上訴提起期限: 官報での公告または通知受領から1ヶ月以内に第一審裁判所へ司法上訴を提起する必要があります。

  • 裁判所が棄却(拒絶): 行政側の拒絶決定が維持され、登録拒絶が確定します。

  • 裁判所が認容(批給): 上訴人の主張が認められた場合、裁判所の確定判決を受領したのち5営業日以内に所定の手続きを行うことで、商標登録証が発給されます。

判決後の迅速な手続 裁判所で勝訴確定判決を得た場合、確定判決受領後5営業日以内に手続を完了させる必要があります。

Summary

マカオでの商標登録は、中国本土や香港とは独立した法体系のもとで行われ、マドプロが適用されないため直接出願と現地代理人の選任が必須となります。出願後8営業日以内の手数料納付、形式審査での補正対応、2ヶ月間の異議申し立て期間、そして不服時の1ヶ月以内の第一審裁判所への司法上訴など、厳格な法定期限の管理が成功の鍵を握ります。現地での豊富な実務経験を持つ専門代理人との連携が、ブランド保護を確実にする最短ルートです。

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